このブログについて 5月 05, 2017 こんにちは。ぼくはしょーちゃんといいます。 このブログは主に、ぼくが読んだ本についてあれこれ書くブログです。 これからどんな本を読むか決める際に、あるいは読み終わった本が他人にはどう受け止められているのかを知る際などに、参考になれれば幸いです。 よろしくお願いします。 平成29年5月5日 しょーちゃん 共有 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ 共有 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ コメント
3. シェイクスピア『マクベス』 5月 21, 2017 ダンカン王が殺された。その犯人は、マクベス。3人の魔女の予言に呪われたスコットランド王の悲劇。 正直に白状すると、ぼくは小説や戯曲など文学の類をほとんど読まない。子どもの頃からそうだった。 だが評論や随筆などを読んでいると、往々にして文学的な教養を求められることがある。たとえば「マクベス夫人の手にこびりついた血のように、『アカなるもの』は消去不可能なものとして、この貴公子の目には映っていた」(白井聡『永続敗戦論』225頁)という比喩。 このような表現を理解したり、さりげなく使えたりすると、単純にカッコいい。またそのハイカルチャー的な世界に興味がある。だから少し教養を高めるためにも、今回はシェイクスピアの四大悲劇うち最も短い『マクベス』を読んでみた。 『マクベス』のあらすじを簡単に記す。 テオドール・シャセリオー 画, マクベスと3人の魔女, 1855年 スコットランドの武将マクベスとバンクォーは、手柄を立てて帰還する道すがら3人の魔女に出会う。彼女らはマクベスを「コーダの領主様!」「いずれは王ともなられるお方!」と呼ぶ。一方のバンクォーには「子孫が王になる、自分がならんでもな」と告げる。その後マクベスは、ダンカン王からコーダの領主に任ぜられ、魔女たちの予言が当たる一方で、王は自身の息子マルコムが王位継承者であると公表する(第1幕)。 王になるという魔女の予言にとらわれたマクベスは、夫人にそそのかされつつダンカン王を暗殺し、新しい王になる。ダンカンの息である二人、マルコムとドヌルベインは、安全を求めてイングランドとアイルランドにそれぞれ逃れる(第2幕)。 やがてマクベスは、かつて魔女に「子孫が王になる」と言われたバンクォーが怪しくなり、2人の刺客にバンクォーとその息子フリーアンス殺害を命じる。刺客らはバンクォーを仕留め、フリーアンスは逃がす。その知らせを聞いたマクベスはひとまず安心するも、宮中大広間での晩餐会で、死んだはずのバンクォーの亡霊が自分の席に座っているのを見て発狂する(第3幕)。 テオドール・シャセリオー 画, バンクォーの亡霊, 1854年 心の安定が得られないマクベスは、洞窟で3人の魔女に予言を乞う。すると釜から3つの幻影が現れてこう言う。「気をつけろよ、マクダフに、気をつけろ、ファイフの領主に... 続きを読む
10. プラトン『パイドン』 9月 30, 2017 魂は不死である。知を愛する者だけが、肉体と魂が分離したのちに神々と交わり真理を得る。ゆえに真の哲学者ならば、死を恐れるのでなくむしろ死を求めるのである。 ぼくが思想的に最も影響を受けた人はプラトンである。プラトンとの出会いは高校で倫理の授業を受けたとき。この倫理の授業は大変ワクワクした。生と死について、社会や国家について、自然や世界の真理について、子どもの頃から自分ひとりで考えていたことが、歴史上多くの人も考えていて、世の中はおもしろい考え方に溢れていることを知った。 それから大学に入り時間ができて、プラトンの著作に手を出すと止まらなくなった。『ソクラテスの弁明』『饗宴』『プロタゴラス』『国家』などの対話篇を読み漁った。ただ哲学は専門ではなかったので、理解のほどは大変怪しいが。 プラトン(紀元前427年-紀元前347年)は、人類の文化に多大な影響を与えた者のうちでも、最大の人であった。彼は老年のソクラテスに感化され哲学の道を歩むことになり、師ソクラテスの学究方法である対話の形式で数多くの著作(対話篇と呼ばれる)を残し、その中においてイデア論をはじめとする様々な学説を唱えたことは、広く知られていることである。また、彼がアテナイ郊外に学園アカデメイアを開設したことや、何度かシケリアに旅行して知的な交流を行ったこと、シュラクサイの政治家ディオンと交友し政治的な期待を寄せていたこと、彼の著作は現在主に初期・中期・後期の3つに分けられてしばしば論じられることなど、彼を知る上で述べるべき事柄は少なくない。ここでは彼の主要な学説である想起説とイデア論について、『パイドン』での議論を確認してみよう。 『パイドン』の概観はこうである。まず本著作は、プラトン独自の思想・哲学が展開され始めたとされる中期対話篇に分類される。場面設定は、ソクラテスの刑死の当日の昼に行われた議論について、パイドンがそのときをふり返ってエケクラテスに語るという形式となっている。副題は「魂について」であり、内容は死に際して魂(プシュケー)が不滅であることをソクラテスが証明していくというものである。証明は大きく分けて3つ、あるいは4つ示される。その中の一つに想起説による証明があり、また別にイデア論を用いた証明も述べられる。 想起説とは何か。それは、学習とは想起(アナムネーシス)であり、〈もし... 続きを読む
1. つんく♂『「だから、生きる。」』 5月 07, 2017 ぼくは、つんく♂の作る曲が大好きである。乙女チックな日常と、地球、宇宙、世界、人生、平和、歴史、愛とが繋がっている歌詞。たとえそれがいくらデタラメでも、自在に操られたメロディーとリズムとハーモニーで、たちまちつんくワールドへ吸い込まれてしまう。 2015年4月4日、母校・近畿大学の入学式にサプライズとして現れたつんく♂は、喉頭がんの手術で声帯(喉頭)を全摘し、声を失ったことを初めて明かした。このニュースはテレビや新聞などで大々的に取り上げられ、ぼくもその日のNHKニュースですぐに知り、衝撃を受けた記憶がある。 つんく♂といえば、シャ乱Qのボーカルで、彼がプロデューサーとして手掛けたモーニング娘。などのアイドルが、今世紀初頭に一世を風靡したことは、現在20代以上の日本人なら誰もが知っていることだろう。 そんなつんく♂が、2014年の10月に声を失ったのだ。なんという悲劇。あんなに歌にこだわりを持っていたつんく♂が、もう永遠に歌えなくなるとは。 本書は、つんく♂が2014年の2月に喉頭がんの診断を受けてから、トモセラピーによる放射線治療、分子標的薬による抗がん剤治療、完全寛解(かんかい)宣言、喉頭全摘手術、近畿大学入学式までの一連の過程について記されている。同時に、1992年の上京からモーニング娘。の誕生、ハロー!プロジェクトの発展、井出加奈子との出会いから結婚、父親になり子育てに勤しむ様子など、彼の前半生が笑いあり涙ありで綴られている。ハロヲタ(ハロプロのファン)ならぜひ一読すべき内容だろう。 そういうぼくもハロヲタの一人なのだが、本書で見つけた興味深いエピソードをいくつか紹介しよう。 まず一つ目は、スマイレージ(現・アンジュルム)のインディーズ3rdシングル「スキちゃん」の歌詞について。結婚して子どもを持ったつんく♂は、「妻は家を守って」という守旧的なスローガンから「ジョンとヨーコみたいに」へと、子育てに積極的に関わり家族との時間を増やすという「人生レボリューション!」を果たした。それから「たまの休日にフードコートでラーメン食って、スーパーで買い物してポイントためるのも、実はロックじゃないか! といつの間にか思うようになっていた」(156頁)らしく、「フードコート」という言葉が歌詞に入ったとのこと。またモーニング娘。の「気まぐれプリンセ... 続きを読む
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